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全社員が「一つのチーム」になった日 ── 人材サービス会社のビジョン策定記

人材サービス業 社員数:約300名規模 代表取締役社長

業種

人材サービス業

規模

社員数:約300名規模

主な支援内容

戦略策定、経営理念・MVV策定

成長の裏側にあった「見えない課題」

順調に成長を続け、社員は約300名規模となり、複数の拠点を展開するまでに成長しました。幅広い業種へ人材を供給する中堅の人材サービス会社として、一定のポジションを確立できた──はずでした。

しかし、成長の速さが生んだ歪みは、確実に組織を蝕んでいました。

各拠点がそれぞれの判断で営業活動を行い、全社としての戦略的方向性は不明確。拠点間での成功事例の共有はほとんどなく、業績のばらつきは拡大する一方。ある拠点では大幅な成長を達成している横で、別の拠点は前年割れを続けている。

「急成長の中で、私自身が会社のビジョンを語れなくなっていたのです。『うちの会社は何のために存在するのか』──その問いに対して、全社員に胸を張って答えられる言葉を持っていませんでした。」

危機感 ── 業界の変化が背中を押した

人材業界の競争は年々激しくなっていました。大手企業の進出、テクノロジーを活用した新興企業の台頭、そして何より深刻な労働人口の減少。

「このまま各拠点がバラバラに動き続ければ、将来どうなるか分からない。」

その危機感が、ビジョンと中期経営計画の策定に踏み切る決断につながりました。専門家に相談したのは、同業の経営者からの紹介がきっかけでした。

声を集める ── 多層的なヒアリング

支援の出発点は、徹底的な「聴く」プロセスでした。

経営陣だけでなく、各拠点の拠点長、そして現場で働く社員一人ひとりの声を丁寧に拾い上げていきました。多層的なヒアリングを通じて、自社の強みや社員が誇りに感じている価値が浮かび上がってきました。

「派遣スタッフの成長を見るのが一番嬉しい」──ある拠点長の言葉が、理念策定の核心を突くことになりました。私たちは単に「人を送り出す」だけの会社ではない。人の可能性を信じ、人の成長に寄り添う会社なのだと。

その想いをベースに、ミッション・ビジョン・バリューを策定しました。全拠点での理念浸透施策として理念カードを配布し、朝礼での活用方法も設計しました。

5年先の地図を描く

理念という北極星が定まった後、いよいよ中期経営計画の策定に取りかかりました。

外部環境分析と内部資源の棚卸しを徹底的に行い、5カ年の成長シナリオを描きました。注力すべき業種と地域の明確化、新規サービスライン(人材紹介・研修事業)の立ち上げ計画、拠点展開戦略。売上・利益目標を年度別に設定し、必要な投資計画も明確にしました。

「初めて、全社の中期計画を策定しました。これまでは各拠点が独自の目標を持っていましたが、全社の成長シナリオの中で自分の拠点がどんな役割を担うのかが見えるようになりました。」

KPIで「語る」文化をつくる

計画を立てるだけでは意味がない。それを実行に移す仕組みが必要でした。

各拠点に対して、派遣スタッフの稼働率、新規契約社数、既存顧客継続率、スタッフ定着率といった重要KPIを設定。月次のKPIレビュー会議の運営方法を設計し、PDCAサイクルを回す仕組みを定着させました。

最初のレビュー会議で起きた出来事は、今でも語り草になっています。業績が低迷していた拠点の拠点長が、数字を示しながら「この数値が改善しないのは、私のマネジメントに問題がある」と自ら認め、具体的な改善策を提案したのです。

数字で語り、数字で振り返り、数字で改善する。その文化が、組織全体に広がっていきました。

成功事例が横に広がる

KPIレビュー会議がもたらした最大の効果は、拠点間での「学び合い」が始まったことです。

ある拠点で効果を上げた施策が、翌月には別の拠点で試される。うまくいった事例だけでなく、失敗から学んだ教訓も共有される。280名が「競合する拠点の集まり」から「一つのチームの仲間」へと変わっていく過程は、経営者として最も感動的な体験でした。

数字が証明する変化

全社的な変革の成果は、数字にも明確に表れています。

社員満足度調査のスコアが大幅に向上。中期経営計画に基づく新規サービスラインの立ち上げに着手し、初年度の売上目標を達成。KPIマネジメントの導入により、下位拠点の売上は大幅に向上し、拠点間の業績格差が縮小しました。

スタッフの定着率も大幅に改善。「この会社で働いていてよかった」というスタッフの声は、私たちの理念が現場レベルで実践されている証です。

一つのチームとして

「これまで各拠点が独自に動いていましたが、ビジョンと計画が明確になったことで、全社員が一つのチームとして動けるようになりました。数字で語る文化が根付き、成長への道筋が見えています。」

人材サービスという仕事の本質は、「人の可能性を広げること」にあると、今の私は確信を持って言えます。そしてそれは、派遣スタッフだけでなく、私たちの社員一人ひとりに対しても同じことです。

ビジョンが明確になったことで、社員一人ひとりが自分の仕事に意味を見出し、主体的に動けるようになった。それこそが、私たちの組織変革の本質だったのだと思います。


※本事例は、当社の支援内容をわかりやすくお伝えするために内容を一部調整しています。

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中長期ビジョンと行動計画の策定

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